箕面 北摂行政書士がお勧めする遺言書 の書き方 ②~自筆証書遺言書の書き方~
自筆証書遺言の書き方
前回 は、遺言書の種類とそのメリット・デメリットについて説明致しました。
今回は、遺言書の中でも、自筆証書遺言書の様式について説明をしたいと思います。
自筆証書遺言書の様式
民法で定める自筆証書遺言書の様式については以下の通りです。
以下に記載のルールに沿って遺言書を記載しないと無効となる可能性があります。
項目 | 内容 |
---|---|
「全文」を自署する | 全文とは、本文(遺言事項を書き記した部分のことを言う)のことです。なお、財産目録については、自署する必要はありません。財産目録の各ページに署名・捺印をする必要があります。 他の人が、添え手をするなどすると、無効となる場合があります。判例においては一定の条件下で添え手が認められる場合がありますが、要件を満たさず無効になる懸念を考えると、無理に添え手をして自筆証書遺言をするより、公正証書遺言に着替えるようにしてください。 |
「日付」を自署する | 「令和5年1月1日」のように全ての記載を自署します。○月吉日や△月末日などのように記載すると無効となります。 |
「氏名」を自署する | ペンネーム等の通称でも良いという判例もありますが、遺言執行等に影響が出ないよう、戸籍に記載の通りに記載します。氏名に旧字体が有る場合は、簡略化せず戸籍に記載の通りに記載するようにします。 |
「印」を押す | 認印でも構いませんが、遺言の信憑性を高める為にも、「実印」や銀行届出印などを使用することをお勧めします。 |
加除・変更の有無の確認 | 記載間違いの場合の修正方法は、厳格に定められている為、修正方法を誤ると無効となる場合があります。書き間違いは原則は、新たに書き直すようにします。 |
封 | 本人が封を自署し本文で使用した印を使用します。ただし、自筆証書遺言書保管制度を利用する場合は、様式チェックを行う為、封はしないでおきます。 |
まずは、こちらの様式を確認しましょう。
法定相続人と遺産分割割合
推定相続人とは、被相続人は存命だが、今現在相続が発生した際に、相続人となるはずの人のことです。(相続は開始していません。)
これによく似た言葉で、法定相続人というのがあります。
法定相続人とは、被相続人が亡くなった為、民法に従って、相続人となる人のことです。(相続が開始しています。)
相続人には誰がなる可能性があるのか、というのをまずは確認しておきましょう。
ここで相続人になる可能性のある人について確認しておきましょう。
民法では以下のように定められています。
順位 | 推定相続人 | 遺産分割の割合 |
---|---|---|
1 | 配偶者・子供 | 配偶者:1/2 子供:1/2 (子供が複数人いる場合は、全遺産の1/2を人数で等分します。) |
2 | 配偶者・親 | 配偶者: 2/3 親:1/3 (親が複数人いる場合にそれぞれに遺産を分割する場合は、全財産の1/3を等分します。) |
3 | 配偶者・兄弟姉妹 | 配偶者:3/4 兄弟姉妹:1/4 (兄弟姉妹が複数人いる場合は、全財産の1/4を人数で等分します。) |
配偶者は常に相続人となり、自身に子供がいる場合の相続人は、配偶者と子供となります。
自身に子供がいない場合にまだご自身の親が存命の場合の相続人は、配偶者と親となります。
自身に子供がおらず、また自身の親も亡くなってしまっている場合の相続人は、配偶者と自身の兄弟姉妹となります。
法定されている財産分割の割合は上述した通りです。
現時点において、誰が相続人となる可能性があるのか、確認をしておきましょう。
ご自身が生まれてから今までの戸籍を取得し、誰が相続人になるのか確認するのが確実です。
遺言の内容を明確にしておく
ご自身の全財産を法定相続人で法定相続分で分割して相続しても良い場合、遺言書を遺す必要というのはありません。
ただ、『あの土地は孫(長男の息子)に遺したい』『自宅と現金1000万円は妻に遺したい』というような法定相続分以外で遺産分割をしたい、指定するといった時には遺言を遺す必要があります。
遺言を遺したいと思う時点で少しは誰に何を遺したいのかはあるかとは思いますが、それを文章にする必要がある為、明確にしておかなければ文章にすることができないのです。
ここで大事なことは、綺麗に文章にすることまでをする必要はありません。それは行政書士や公証人等専門家に任せても良いのです。
ご自身でやるべき事は、綺麗な文章にできなくとも誰に何を遺したいのかを決めてしまうことです。これはご自身にしかできないことです。
遺言書を記載する際の注意すべき言い回し
遺言書に記載する言い方として、『相続させる』『遺贈する』とあります。
遺言書に『現金100万円』を誰かに遺したい場合、その遺す相手によって言い回しを変えて記載する必要があります。
下記、表にある通り法定相続人に対しては『相続させる』とし、法定相続人以外には『遺贈する』と記載します。
言い方 | 遺言者との関係 |
---|---|
相続させる | 法定相続人 |
遺贈する | 法定相続人または法定相続人以外 |
もう少し具体的に説明しますと、例えば、隣の家に住む血縁者ではない方に現金100万円を遺したいと考えた場合、この隣の家の方は法定相続人ではありませんので、遺言書には『隣の家の方に現金100万円を遺贈する』というように記載することになります。
法定相続人以外の方に何か財産を残したい場合は特に、その人を特定できるような表現にしておく必要があることに注意が必要です。
遺言書は、ご自身が亡くなられた後、遺言執行者(相続財産を遺言書に記載のとおり遺産分割を行っていく人)が遺産分割を行う必要があります。
遺言書には、遺言執行者が遺産分割ができるよう適切な記載、適切な内容にする必要があることに注意が必要です。
自筆証書遺言 サンプル
以上を踏まえたら、一度遺言書を書いてみましょう。
参考までに遺言書のサンプルを記載致しますので、参考になさってください。
遺言書 1. 私は、私の所有する以下の不動産を、妻次代(昭和25年1月1日生)に相続させる。 所在:東京都・・・・ 地番: 地目:宅地 面積:120平米 2.私は、私の有する下記の預貯金を、長男継夫(平成10年2月3日生)に相続させる。 ○○銀行 ○○支店 普通預金 口座番号:0001234 3.私は、祖先の祭祀を主宰すべき者として長男 継夫(平成10年2月3日生)を指定する。 4.私は、この遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。 住所:東京都・・・・ 氏名:平成 継夫 生年月日:平成10年2月3日生 付言事項: ・・・・ 令和5年2月17日 住所 :東京都・・・ 平 成 遺 夫 ㊞ |
付言事項とは、家族や遺された者に対する最後のメッセージです。家族や遺された者への感謝の気持ちや、遺言書に記載した財産の配分の内容について、なぜそのような配分で財産を分けたのかその意図や思いを記します。
財産の分け方に偏りがある場合は、是非ともそのように分けた思いを綴って下さい。
他より少ない財産の分与を受けた者が、仮に気持ちがもやもやとしたとしても、すぅーっと落ち着くかもしれません。
まとめ
簡単ではありますが、自筆証書遺言の記載方法について説明致しました。
こういったときの書き方は?というように書始めるといろいろと疑問も出てくるかもしれません。
このような場合、弊所やお近くの行政書士事務所にご相談されると良いかと思います。
是非ともお近くの行政書士事務所を活用下さい。
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