箕面 北摂行政書士がお勧めする遺言書 の書き方 ①
遺言書の書き方
遺言書は巷ではよく聞きますが、実際に書こうとするどうやって書けばいいのか、分からないですよね。
今回は遺言書にテーマを絞って、遺言書の種類とその書き方について説明したいと思います。
法律上定められた遺言書の種類としては3種類あるのですが、このうちよく使われる2種類について説明をしたいと思います。
遺言書を遺すにあたって
これを読んでいる方は、少なからず遺言書についてご興味がある方ではないでしょうか。
では、あなたは、なぜ遺言書を遺そうと思われたのでしょうか。
遺言書は、単に書けば良いものではなく、遺言を遺す目的を最初にはっきりとさせておきましょう。
例えば
- 妻が住む家とお金に困ることの無いようにしたい。
- 自分が死んだ後の財産は、恵まれない子供らに寄付をしたい。
- 子供らには遺産を遺したくない。
目的をしっかりと定めておけば、どのように遺言書の内容を記載すれば良いか分かります。
もし、自分自身でどう書けば良いか分からない場合であっても、行政書士等の専門家に相談することで、そのアドバイスを貰うことができます。
その為にも、どのような目的で遺言を遺したいのか、よく考えるようにしましょう。
次に、遺言の種類とそれぞれがどういったものかを説明します。
遺言の種類(自筆証書遺言・公正証書遺言)
冒頭にもお伝えした通り、遺言書にはその書き方によって2つの種類があります。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、ここではその説明を致します。
自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、その名の通り、遺言書の内容を自筆で作成する遺言のことです。
メリットとしては、以下2点です。
- 作成に関する費用が掛からないこと。
- 手軽に作成できること。
デメリットとしては、以下5点のように少々対応が煩雑であることです。
- 遺言書の内容(財産目録等は除く)全てを自筆する必要があること。
- 法定される書式に則って遺言書が記載されていないと、遺言書自体が無効となってしまう場合があります。また、遺言書の書式は問題ないが記載内容に問題があり遺言が執行できない場合というのもあります。記載方法は厳密に守って記載する、遺言の内容については注意して記載する必要があります。
- 本当に遺言者本人が作成したものか、疑義が生じてしまう可能性があること。
- 作成した遺言書をどのように保管しておくのかといった問題、紛失や偽造・変造の危険性が伴うこと。
- 遺言執行(遺言の内容のとおりにその対応を行うこと。遺産分割など)を行う前、もしくは遺言書を開封する前に裁判所にて検認という作業を受ける必要があること。
この家庭裁判所の検認には、通常1ヶ月程度掛かりますので、遺言者が亡くなられた後すぐに遺言執行という訳にはいきません。
また、遺言書に封がある場合(偽造・変造されないように通常は封をします)、家庭裁判所にて推定相続人が集まって開封する必要がありますので、それなりに相続人にも負担があります。
ただ、遺言書の紛失、偽造・変造の危険性が伴うこと、記載する内容や書式に注意が必要ですが、他の遺言書の種類と比べると容易に、または自分のペースで作成できるというメリットもあります。
必要に応じて行政書士等専門家と相談して作成した方が無難ですね。
公正証書遺言
公正証書遺言とは、その名の通り、遺言書を公証役場で公正証書として作成するものです。
メリットは、概ね以下の3点です。
- 記載する書式や内容について間違う心配がないこと。(実現したい遺言の内容を公証人に伝えると公証人が文面を作成してくれます。)
- 遺言書の紛失・変造・偽造の心配がないこと。
- 家庭裁判所の検認を行う必要が無いこと。
デメリットとしては以下3点です。
- 公証人と証人2名以上の立ち会いのもと作成する必要があること。(自宅や入院先の病院でも作成可能ですが、出張費用が掛かる為、通常は公証役場で作成することが多いです。)
- 相続財産の額・内容に応じて手数料が掛かること。(相続財産が1,000万円の場合、手数料は34,000円~ 掛かります。遺言書の内容により手数料が追加となります。)
- 公証役場において口述または筆記でも公証人に遺言の内容を伝えられない場合は、作成が難しい場合がある。
というように、作成した遺言書の書式間違いや内容の間違い、または遺言書の紛失等の懸念はないものの、作成に掛かる費用や対応に多くの労力が掛かるので注意が必要です。
公証役場において、公証人に遺言の内容を口述するのが難しい場合は、筆記にてその内容を伝えます。遺言の内容が長くなると体力的に筆記で伝えるのが難しくなる場合もあろうかと思います。その場合は、自筆証書遺言にてご自身のペースで遺言書を作成するといった対応を考える必要がありそうです。
遺言書 種類別特徴のまとめ
以下に遺言書の種類別に簡単ではありますが、メリット・デメリットをまとめています。
遺言書の種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
自筆証書遺言 | 作成費用が掛からない 手軽に作成ができる | 遺言の内容(財産目録は除く)全てを自筆する必要がある。 本人が作成したか疑義が生じる恐れがある。 法定された様式に違反すると無効となる場合がある。 紛失・偽造・変造の恐れがある 遺言執行前に家庭裁判所での検認が必要であること |
公正証書遺言 | 紛失・偽造・変造の恐れがない。 家庭裁判所での検認の必要がない。 | 作成時にそれなりに労力と費用負担が掛かる。 推定相続人に労力が掛かる。 |
自筆証書遺言書保管制度
自筆証書遺言書保管制度とは
自筆証書遺言保管制度とは、その名の通り、作成した自筆証書遺言を法務局で保管してくれる制度のことです。
自筆証書遺言書保管制度の便利な制度
自筆証書遺言書は、法定された書式に則らず記載すると無効となる可能性がありますが、この制度を利用する際、法務局にて自筆証書遺言の形式に適合するか、チェックを受けられます。
また、自筆証書遺言においての懸念はその遺言書の紛失や偽造・変造の恐れがありました。これらの懸念を法務局に預けることで無くすことができるのです。
さらには、家庭裁判所での検認の必要はなくなることや、遺言者が亡くなった時には、法務局から遺言書が保管されていることを各相続人に通知することなど、他にも便利な制度となっています。
ただし、遺言の内容までは確認されませんので、その遺言書の内容で本当に遺産分割が可能か、無効な記載になっていないかはチェックされません。また、遺言書を電子化するにあたっての都合で、余白を設ける必要がありますので、事前に法務省のページをご確認下さい。
外部リンク:法務省・自筆証書遺言書保管制度・遺言書の作成に当たって
便利な制度をまとめると以下です。
項目名 | 制度の内容 |
---|---|
確認 | 法定される書式に則り記載されているか、チェックを受けることができる。 |
保管 | 遺言書は、法務局で保管され、原本は遺言者死亡後50年間、画像データは遺言者死亡後150年間保管されます。 紛失・偽造・変造の恐れがありません。 |
検認 | 家庭裁判所による検認の必要がありません。 |
閲覧 | 相続開始後であれば、遺言書を預けた法務局(遺言書保管所)に限らず、全国の法務局にてその遺言書のデータの確認が行えます。 (原本の確認は、遺言書保管所に限ります。) |
通知 | 遺言者が亡くなった時、遺言書が保管されていることの通知が可能です。(希望者のみ) |
遺言書の保管場所について
遺言書の保管の申請は,次の3つのいずれかを担当する遺言書保管所であれば,どこででも可能です。
- 遺言者の住所地
- 遺言者の本籍地
- 遺言者の所有する不動産の所在地
遺言書の原本の閲覧や、保管した遺言書を撤回する場合は、先に遺言書を保管した遺言書保管所に対して行う必要があります。
自筆証書遺言書保管制度の手数料
以下に主な手続きの内容とその手数料の額について記載します。
手続名 | 手数料額 | 手続きできる人 |
---|---|---|
遺言書の保管の申請 | 申請1件(遺言書1通)につき,3900円 | 遺言者 |
遺言書の閲覧の請求(原本) | 1回につき,1700円 | 遺言者/関係相続人等 |
申請書等・撤回書等の閲覧の請求 | 申請書等1件又は撤回書等1件につき,1700円 | 遺言者/関係相続人等 |
遺言書の閲覧の請求(モニターによる) | 1回につき,1400円 | 遺言者/関係相続人等 |
まとめ:自筆証書遺言と自筆証書遺言書保管制度活用
いかがでしたでしょうか。
遺言書の書き方についてメリット・デメリットを含め説明を致しました。
遺言書は、ご自身が家族に遺せる最期メッセージです。
遺言書は、一度書いて終わりというのもではなく、ご自身の状況や考え等が変われば何度となく書き直しても良いものです。書く回数に制限はありません。
自筆証書遺言は、デメリットもいろいろとありますが、そこはうまく専門家を『使う』ことで懸念点も減らせると思います。
それより、気軽に始められるというメリットも大いにあるのではと思います。
「自分の場合だと自筆証書遺言・公正証書遺言とどちらが良いかな」と思われましたら、専門家の方と相談をしながら、決めていただくという手もあります。
いろいろとお話をされるなかでご自身の考えも整理でき、きっと良い遺言書が作成できるものと思います。
迷ったらまずは相談下さい。
いろいろと悩まれて年月が経過してしまうと、遺言を遺すことを忘れてしまう、もういいかと諦めてしまう。
それはすごく勿体ないことです。
というのも、遺言はご自身から家族への最期のメッセージです。普段言えなかった感謝の気持ち等是非遺されたご家族に遺してあげてください。
最後に、ご高齢の方は、遺言書の作成に時間を掛けすぎ認知症を患ってしまうと、遺言を遺せなくなる危険性もありますので、遺されるのであればお早めにご相談下さい。
次回は、自筆証書遺言書の記載方法について注意点を説明したいと思います。
遺言書の作成に関してのお問い合わせやご相談は、こちらからどうぞ。