終活でよく使われる3選!「遺言書」「エンディングノート」「リビング・ウィル宣言書」
終活を行う為の3つの方法
最近、終活がニュース等で話題になることが多くなりましたが、何から準備を始めればいいのか、よく分からない方も多いのではないでしょうか。
今回は、終活でよく用いられるもの3選と題して、「エンディングノート」「遺言書」「リビングウィル宣言書」と似ているけど違うそれぞれの役割等の解説を行います。
使い分けについても、個人的な意見にはなりますが、参考としてどうぞ。
まずは、一番有名でもある「遺言書」についてです。
遺言書
遺言書とは
「遺言書」とは、遺言者が自分自身の財産について誰にどれだけ残すのかを予め決めておくことができるものです。
ただ、遺言書の作成方法等については、法律上厳格に定められていますので、ご自身で自由に作成されてしまうと、作成した遺言書をいざ確認してみると、無効なものだったともなりかねませんので注意が必要です。
遺言書を作成するメリットは?
法律上厳格なルールがあり、知らずに作成すると無効になってしまう可能性があっても、「遺言書」を作成するのはどういったメリットがあるのでしょうか。
遺言書を残す最大のメリットは、遺言書に記載した財産分与の内容に関しては、法的拘束力があるということです。
ただ、相続人には遺留分と呼ばれる最低限の遺産分割を受ける権利がありますので、遺言書に記載したからといってこれを侵害することはできないのです。
どういうことかと言いますと、例えば、相続人として長男、長女のふたりのみがいる被相続人(財産を遺す人)は、『その財産の全てを長女に遺す』という遺言書を遺したとしても、長男の相続額は0円かというとそうではなく、相続財産の1/2(法定相続分)の半分の財産を受け取ることができる権利のことをいいます。(ここでは相続税は無視しています。)
どういうときに作るの?
遺言書は、被相続人がお亡くなりになった後、遺産分割時に家族が揉めない為にも、是非、作るべきと考えます。
遺言書を作成し気持ちが変わる内容を変えたいが簡単には変えられないのでは、と不安を頂かれる方もいらっしゃるかもしれません。
新しい日付で遺言書を作成することにより、何度でも作り直すことができます。
また、法律上、認知症等の傾向があらわれてしまうと、その認知症の度合いによっては遺言書を遺すことができなくなってしまう可能性もあります。
何度でも作成は可能なので、まずは作成できる時に作成する、『そろそろ考えた方がいいかな』と思ったときが作り時だと思います。
次に、「エンディングノート」についてです。
エンディングノート
エンディングノートとは
「エンディングノート」とは、あなた自身の人生の棚卸しを行い、これからの人生について目標を定め、あなたの人生をより良いものにしていこうというものです。
特にこれについて記載しなければならないというものはありません。
また、「遺言書」とは異なり、記載した内容に法的拘束力はありません。
エンディングノートを作成するメリットは?
遺言書と異なり法的効果がないエンディングノートを作成するメリットはあるのでしょうか。
遺言書は原則として記載事項は法的内容に限られますが、(付帯事項として家族への感謝の意は記載できる)、エンディングノートに記載する内容に縛りがないことは大きなメリットかと思います。
記載する内容として、参考例としては以下のようなものがあります。
1.「○才で妻と出会い、△才で結婚した」などのようにあなたの人生の振り返り
2.あなたの身体のこと
3.あなたの財産のこと
投資を行っている証券会社の口座も記載していた方が良いかもしれません。
4.万一自分が亡くなった場合、どのようなお葬式にするのか、そのお葬式に呼んでほしい人、呼ばない人等
5.これからやりたいこと、希望すること
どういったことを書けばよいか迷った場合は、本屋さんに行くと様々な出版社から各種エンディングノートを出版されていますし、インターネットを検索すると、サンプルなどを確認することができると思います。お好みで選んで頂ければ良いと思います。
遺言書を作成するまえの自分の考えを整理する為にエンディングノートを記載しても良いかもしれません。
どういったときに準備するのか?
ひとはいつ死んでしまうか分からないということもありますので、思い立った時に始めてみるのが良いと思います。
先にも伝えましたが、遺言と異なり法的要件がない為、自由に記載してもダメとなることはありません。
作成する際は家族ともお話をしながら書き進めるのもひとつかと想います。
また、エンディングノートを記載されましたら、家族の方に読ませなかったとしてもその保存場所等は共有しておきましょう。
エンディングノートについてはこういう逸話もあります。
エンディングノートだけは遺されていて。
遺言書を書こうとしていた人が、結局書けずじまいでお亡くなりになってしまいました。
しかし、エンディングノートだけは遺されていて、そこには、その方の家族へ向けた感謝の言葉がいろいろと書かれていたそうです。
法的拘束力はない為、あまり有用な感じに捉えられていないところもあるかもしれませんが、気軽に、簡単に書ける、という点でメリットは大きいのかもしれません。
最後は「リビング・ウィル宣言書」です。上述の「遺言書」「エンディングノート」とは少し役割は異なります。
リビング・ウィル宣言書
リビング・ウィル宣言書とは
「リビング・ウィル宣言書」とは、自分が終末期に受ける医療についての事前指示書のことをいいます。
万一自分が回復見込みのない場合に、延命措置を受けたくない、緩和医療を中心に対応をお願いしたいと思う方が、意思能力があるうちに、あらかじめ終末期の医療方針を書き残しておくものを指します。
リビング・ウィル宣言書を遺すことのメリットは?
患ってもいない病気等のことでリビング・ウィル宣言書を作成するメリットはあるのでしょうか。
メリットとしては、予め家族と相談し話し合って決めておくことで、万一急に、意識の回復見込みのない状態に陥ったとしても、あなた自身が表明された意思が、ケアに携わる方に伝わりあなたが自分らしく誇りを持ってその最期を迎えることができることにつながります。必ず、QoL(Quality of Life:生活の質等とも言われる。)が向上することは間違いなしです。
誤解をされないようにしたいのは、リビング・ウィル宣言書は、回復見込みのある『救命措置』を拒むものではありません。
外傷や心臓・肺等の病気により一時的に人工呼吸器等の生命維持装置を使い、治療を行う行為は、単なる延命措置ではないことは言うまでもありません。
どういった時に準備するの?
リビング・ウィル宣言書は、万一に備えて気になった時はいつでも準備すると良いと思います。
書面という形に残しておくのがベストですが、書面という形にできなくとも、『万一、意識が回復しないような事態になった場合にどういった治療を選択するのか。』ということ自体は配偶者の方、または家族の方とお話をされておいた方が良いと思います。
自分の治療法を選択する方法ではあるものの、配偶者や家族、兄弟がいらっしゃる場合、単に自分だけで決めればよいというものではありません。
遺される家族などの気持ちを考えると、自分の希望を話すとともに家族の気持ちも汲み入れながら、お話をされるのが良いと考えます。
リビング・ウィル宣言書を作成されたのであれば、その保管方法についても検討下さい。
ご家族が保管する、またはおひとりみの方は主治医の先生に預けておく、といった対応が良いかとは思います。
「遺言書」「エンディングノート」「リビング・ウィル宣言書」はそれぞれの目的にあわせて良いものを選択して下さい。
ここでは遺言書・エンディングノート・リビング・ウィル宣言書と終活に使われる3つのものをどういった目的で使うとよいのかを簡単ですが、説明致しました。
遺言書は遺されるご家族に向けたもの、エンディングノートはご本人の為、遺されるご家族の為、リビング・ウィル宣言書はご本人の尊厳の為。
役割は様々ではありますが、目的にあわせて、遺言書、リビング・ウィル宣言書を使うなど複数ご利用され、就活をより良いものにしていただければと思います。
次回以降、それぞれについてもう少し深掘りしていきたいと思います。
少しでも興味を持った、または、どうやったらいいかなと思われた場合、もしくは、興味はあるがよくわからないと思われる方は、些細なことでも結構ですので、弊所までご相談下さい。
いろいろとお話をさせていただく中で、ご自身の求めるものが明確になっていくかもしれません。
ご相談等は、こちらからどうぞ。