【ドローン】他人の土地の上空を飛行できるのか?!飛行させる場合の注意事項等を解説します。
はじめに
ドローンを飛行させる際、気になる方もいるかと思うのが、野山などでも他人の土地の上空を勝手に飛ばして良いのか、という疑問です。
国土交通省のQAにおいても以下のように見解が示されています。
航空法の許可等は地上の人・物件等の安全を確保するため技術的な見地から行われるものであり、ルール通り飛行する場合や許可等を受けた場合であっても、第三者の土地の上空を飛行させることは所有権の侵害に当たる可能性があります。
国交省の見解からしても、単純に飛ばして良いものではないことがわかります。
どういった点がひっかってくるのか、もう少し詳細をみていきましょう。
土地所有権とは
「土地所有権」とは、特定の土地を自由に使用し、その利益を得る権利を指します。これは、その土地を所有している人が、その土地を自由に利用したり、その土地から利益を得ることができるという権利を意味します。
土地所有権は、民法において、その土地の表面だけでなく、地下と上空にも及ぶと定められています。これは、土地所有者が地下資源を掘り出す権利を持っていたり、その土地の上空を飛行する権利を持っていることを意味します。
しかし、土地所有権は絶対的なものではなく、法律や規則により制約を受けることがあります。
例えば、公共の利益や他人の権利を侵害しないという原則に基づく制限が存在します。また、「利益の存する限度」によってもその範囲が制限されると考えられています。
航空法と土地所有権の関係
土地所有権は確かにその土地の上空にも一定の権利を及ぼします。しかし、土地所有権が無制限に上空に及ぶというわけではありません。これは「空中分離原則」や「最低安全高度原則」と呼ばれる考え方に基づいており、通常、低空飛行は土地所有者の許可が必要となりますが、一定の高度を超えると、航空法によって規定された「公空」となり、航空機は自由に飛行することができます。
航空法は、航空機の航行の安全及び航空機の航行に起因する障害の防止、航空機を運航して営む事業の適正かつ合理的な運営を確保し、その利用者の利便の増進を図ることを目的としています。そのため、一定の高度以上では航空機が自由に飛行できるようにして公共の福祉を増進するとともに、航空の発達を図るために、土地所有権が制限されることがあります。無人航空機(ドローン)の飛行に関しても、これらの原則が適用され、また、無人航空機の飛行禁止空域や飛行方法などに関するルールも設けられています。
ドローンと土地所有権の関係
無人航空機であるドローンは、地表または水面から150m以上の高さの空域を飛行する場合には許可が必要です。
このようにドローンは高度150m以下で飛行させることを念頭に置かれていると考えられる為、この関係からもドローンの飛行の際には、土地所有者からの許可を得ることが、最も問題ない対応であることは間違いないと思われます。
ただ、ドローンを使った配送を行う場合において、飛行経路における土地所有者の承諾を全て得るというのは現実的ではありませんので、今後、何らかの法整備がなされるかと思います。
まとめ:ドローンを第三者の土地上空を飛行させる際は土地所有者の承諾を得ること
冒頭の国土交通省のQ&Aにあるように、第三者の土地の上空をドローンを飛行させるには土地所有権の問題から侵害行為にならないとも限りません。
野山、畑など第三者に迷惑を掛けないと思われがちな場所であっても、その土地の所有者がいるので、一声掛けて承諾を得るようにしましょう。
これは、ダムなどでも同様で、少なくともダム施設にはダム管理者がいるので、誰もいないからといって管理者に断り無く、飛行させるのは、様々な観点からもよろしくない行為と考えられますので、ご注意下さい。